太陽の中心と月の中心が一直線上に並ぶとき、月の見かけの上での大きさが太陽よりも小さいと、地球からは太陽の縁(ふち)だけが金色の環(リング)のように見える金環日食(金環食)となる。この非常に珍しい天体ショーが、九州南部から東北南部の太平洋側という広い地域で観測された。
本日は朝から全国的に曇りがちの天気ではあったが、雲の隙間から金環日食を観測できた地域も多く、各地の学校や公園などでは日食グラスを手に空を見上げる人達の姿があった。テレビはもとより、インターネットでも各地の日食の様子が中継されたり、GPSのついたスマートフォンで観測報告を募り、全国的な日食観測マップを作成する試みなども行われたとのこと。
日本国内で金環日食が観測できたのは1987年の沖縄以来25年振りとのこと。さらに本州での観測記録というと1883(明治16)年以来となり、今回のような広範囲での観測となると平安時代となる1080(承暦4)年まで遡るという。これだけ珍しい自然現象なので、日本各地が、ちょっとしたお祭り騒ぎとなったのも宜(むべ)なるかな、といったところだ。
ところで、古来、日食や月食といえば異変や凶事の前触れとされてきた。調べて見ると、例えば前述した1883年には「高田事件」と呼ばれる自由民権運動弾圧事件が起こったり、三池炭鉱や高島炭鉱で暴動が発生したりしている。また明治維新の元勲・岩倉具視や、徳川家定正室・天璋院(篤姫)が亡くなるなどしている。
こうして抜き出して見ると、やはり日食・月食の類は凶兆であるかのように思える。しかし同じ1883年には、日本で初めて天気図が作られたり、陸軍大学校が設立されたり、鹿鳴館が落成したりもしているのだ。もし日食や月食が人間社会に何らかの影響を及ぼすというのであれば、異変や凶事というよりは、良いことも悪いこともハッキリと世に表れてくる、という事かもしれない。
そして今回の現象は金環日食。「黒」い月の影が太陽を隠そうとするものも、その「白」い輝きを奪うことはできない。
「今…感じる感覚は……おれは「白」の中にいるということだ…DIOは「黒」! ジョースターさんたちは「白」! 「黒」と「白」がはっきり別れて感じられるぜ! 傷ついた体でも勇気が湧いてくる 「正しいことの白」の中におれはいるッ!」
(by.ジャン=ピエール・ポルナレフ:ジョジョの奇妙な冒険 第三部 より)

超像可動 「ジョジョの奇妙な冒険」第五部 42.シルバー・チャリオッツ(荒木飛呂彦指定カラー)
このたびの金環日食が、政治・経済ともに混沌とした「黒」で覆われている世界にも「白」い輝きが失われていないことを暗示している・・・のだったら、いいなぁ。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。

「奇跡だ」「次も見に行く」=金環日食、拍手と歓声―「もうちょっと見たい」の声も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120521-00000023-jij-soci