とはいえ“素人”である裁判員が公判に参加することで、これまでには想定できなかった問題もおきるようだ。
強姦致傷被告に裁判員「むかつくんですよね」
(読売新聞)
19日に仙台地裁で開かれた、10代女性に対する強姦致傷罪に問われた宮城県大崎市のトラック運転手、結城一彦被告(39)の第2回公判でのこと。犯行の際に被害者の首を絞めたのは「首を両手で絞めたのではなく左手で圧迫しただけ」などと主張する被告に対し、或る男性裁判員が「昨日からずっと同じ答えですよね」「『反省してます』とか、当たり前の答えしか返ってこない」と苛立ちを見せ始めた。
そしてついに感情を爆発させ、被告に対し「(被害者の首を絞めたのが)片手か両手かなんて関係ない。この場で聞いていてむかつくんですよね」と強い口調で言い放った。直後に裁判長が「その辺で」と手で制止すると、男性裁判官は「すいません」と質問をやめたとのことだ。
自分が熱意を込めて発した質問を相手に淡々と事務的に対応されたら気分を害しても不思議ではない。強姦致傷という卑劣な罪を犯した人間が相手ではなおさらであろう。だからと言って裁判員が冷静な判断が要求される法廷の場で感情に溺れてしまうのは問題だ。というより危険だ。まして激高して「むかつく」なんてお世辞にも品が良いとはいえない言葉を口にするなど…。
私が最近「むかつく」なんて言葉を使ったのは、世界を救う冒険の旅に出ているとき、その旅の終盤で
「ここまで来て タネや木の実を使わないで とっとくなんて あんた どんだけ ケチくさいのヨ!」
(byサンディ:ドラゴンクエストIX 星空の守り人 より)

ドラゴンクエストIX 星空の守り人
とガングロ妖精に罵られ、つい怒りに我を忘れてタッチペンで彼女をつっつきまくったときぐらいだ。大人気なかった行為だったと今では反省している(笑)。
閑話休題、感情に任せて――というより、当人の気分次第で判決を出していたら、冤罪の可能性がある事件のときに「罪を認める発言をしない」から有罪にしてしまったり、逆に美男美女が神妙な態度をとっただけで「イケメン無罪」「可愛いから許す」といった判決が出てしまいかねない。これでは裁判員制度は衆愚政治の頂点のような制度になってしまう。
裁判員として実際に法廷に出る前に、裁判員制度の意義や法廷での振舞い方などについてもっとしっかりレクチャーを行うなどの対応が必要だと思う。そうでなくても裁判員制度は「議論する」「感情論よりも合理的且つ理知的な判断を優先させる」「決断を下す」「責任を取る」など、およそ日本人が社会的訓練をあまりされていない事柄が多数要求される制度なのだから。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。

強姦致傷被告に裁判員「むかつくんですよね」
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