日本…いや世界屈指の自動車メーカーであるトヨタの車が、米国で大量リコール(回収・無償修理)となった問題は、連日のように報道されているのでご存知の方も多いと思う。
この問題を象徴するかのようにメディアで取り上げられたのが、米下院で行われた公聴会に証人として出席し、高速道路でトヨタ車のレクサスを運転中に突如時速100マイル(約161キロ)まで急加速した体験を涙ながらに語った女性、ロンダ・スミスさん。
「恥を知れトヨタ」米下院公聴会で怒号飛ぶ 8時間続き終了(
産経新聞)
Yahoo!ニュースより
スミス女史は、高速道路を運転中、自分の運転する車が意図せぬのに時速70マイル(約113キロ)から100マイルへ急加速したと証言。また彼女は恐慌状態のなかで夫に別れを告げる電話をかけたことも明らかにし「強欲なトヨタよ、恥を知れ」と涙ながらに語った。
しかし一方で、スミス女史の証言には早くから疑問の声が上がっていた。
「恥を知れトヨタ!」証言に疑問噴出 時速160キロで携帯って…(
ZAKZAK)
スミス女史の証言によれば、急加速時の顛末は以下の通り。
(1)走行中のレクサスが加速開始
(2)ギアを「ニュートラル」に入れても減速せず「リバース」には入らない
(3)サイドブレーキも機能せず時速145キロに
(4)「ガードレールか木にぶつけて止めるしかない」と考えた
(5)時速100マイルに達し、夫に「最後の電話」をした
(6)その後、特に新しいことをしないうちに徐々に減速
(7)時速32マイル(約53キロ)に落ちたところで、中央分離帯に寄せてエンジンを切った。
記事中によれば、そもそも車は安全上、高速走行中にギアがリバースに入らなかったりサイドブレーキが機能しないようになっているうえ「ブレーキを踏み込めば、アクセルの電子制御スロットルが全開でも構造的にスピードは落ちる。万一、電子制御システムがブレーキを認識しないエラーを起こしたとしても、ギアをニュートラルに入れれば動力が伝わらず、やはりスピードは落ちる。ここでもエラーが起きたとしたら、それぞれ独立しているアクセル、ブレーキ、ギアのすべての系統で同時多発的にエラーが起きたことになる。これは天文学的な確率です」(鷲野翔一・前鳥取環境大教授)とのこと。
そして新たな事実が明るみになった。
「暴走」レクサス、転売された後はトラブルなし(
読売新聞)
米高速道路交通安全局(NHTSA)は、この問題を検証するためスミス女史が使っていたと発表した。驚くべきは、スミス女史は同車を走行距離3000マイル(約4800キロ)の時点で売却していること。そんな重大なトラブルが発生した車をそのまま他者に売ってしまうのか?スミス女史は「もうこんな車に乗るのはこりごりだ」と思ったのかもしれないが、もし車の売却時に自らの恐怖体験を語っていないのなら、その事実を隠蔽して売却したことになりはしないか?
もし次のオーナーが同じトラブルに見舞われていれば、トヨタと同じぐらい彼女にも非難が集中しただろう。しかし幸いにも、問題の車の走行距離は現在約30,000マイル(約48,000キロ)に達しているが、売却後は
「私の愛馬は凶暴です」(byシャギア・フロスト:機動新世紀ガンダムX より)

1/100 ガンダムX ヴァサーゴ
と言いたくなるような“暴れ馬”ぶりをみせるどころか、何のトラブルも起こしていないそうだ。
うん?この車“事故”発生時から比べて約10倍の走行距離に達しているけど、その間トラブルが再発しなかったということ?まぁ専門家の証言によれば今回の事故が起きる可能性は「天文学的な確率」だというから、トラブルが再発しないのは不思議ではない。
しかし例えば、単にスミス女史がブレーキとアクセルを踏み違えたといったようなイージーミスが原因のトラブルで、マシントラブルではなかった可能性も考慮する必要があるだろう。そうなると今回の問題で悲劇のヒロインとなり、トヨタに対し「恥を知れ」とまで言い切ったスミス女史の立場は少々困ったものになるが…。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。

←管理人の励みになります。よろしければクリックをお願いしますm(_ _)m
「暴走」レクサス、転売された後はトラブルなし
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100227-00000316-yom-bus_all
posted by 只今(橘カヲル) at 23:59| 東京 ☔|
Comment(2)
|
TrackBack(0)
|
雑感:経済
|