音楽プロデューサーの小室哲哉容疑者が逮捕された。既に権利喪失しているはずの、自らの楽曲に関する著作権の譲渡を或る人物に持ちかけ、前金として振り込ませた5億円を騙し取り、民事訴訟での和解を経ても返金しなかったためである。騙し取った金銭は、借金の返済に充てていたという。
90年代の音楽シーンを大きくリードし、一時代を築いた小室容疑者。しかし
「赤い彗星も地に堕ちたものだな」
(byキシリア・ザビ:機動戦士ガンダム より)

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と思わず言いたくなるほどの、絵に描いたような転落人生となってしまった。海外進出の失敗や、離婚による多額の慰謝料の支払いなどで資金繰りが悪化したことが原因として挙げられているが、なんといっても近年はヒット曲を生み出せなかったことが一番の原因であろう。一般の企業でもそうだが、本業で順調に業績を伸ばし、売り上げが上がり、利益が出続けていれば、資金繰りが多少悪化する時期があっても乗り越えられるものだ。
とはいえ、何しろ彼の音楽の特徴は高速・高音域・高密度、そして転調である。もう少し平たく言うと
・スピードが早く
・使われているキーも高い曲に
・めいっぱい歌詞が詰め込まれている
だから、歌い手はさながら「非情に高い声で早口言葉を捲くし立てる」ような状態になる。そのうえ途中でコロンと曲のテンポが変わるのだから歌い手は大変だ。要するに彼の音楽は歌い手を選んでしまうのである。まぁ別の視点から見れば「カラオケで歌いきったら自慢できる歌」だから、特に若い世代は小室ファミリーのCDを購入して練習に努めたものでもあるのだが。
しかし若者が携帯電話におカネを掛けるようになってからというもの音楽CDの売り上げは落ち、J-POPそのものが冬の時代に突入した。とてもじゃないがカラオケの練習用にCDを買う余裕などないというわけだ。そんな感じで市場規模が縮小しているのに歌い手を選ぶ楽曲を作っていては、新曲・新人のプロデュースもままならず売り上げが先細りになるのも、ある意味必然だったのかもしれない。
これだけの人だから歌い手に合わせた楽曲を作ることも可能だったと思うのだが、成功を収めてしまったことでそんなガッツも無くなり、今回のように安直な詐欺行為でカネを稼ごうとしたのだとすれば、余りにも惨めな末路である。しっかりと罪を償って欲しいと思う。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。

【小室逮捕】「Departureからarrivalへ」 告訴人の訴え原文
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000552-san-soci
<小室哲哉容疑者>妻のKEIKOさん「大変ショック」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000118-mai-soci