
そこで小田原市に本社を構える老舗の駅弁製造元『東華軒』さんの小田原駅改札前販売コーナーに立ち寄った。なんでも東海道本線における駅弁販売は、元々旅館を営んでいた『東華軒』さんの初代が国府津駅にて竹の皮に包んだ握り飯を売ったのが最初なのだとか。
※参照
東華軒
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特選小鯵押寿司(980円:税込)
購入したのは『東華軒』さんを代表する駅弁、特選小鯵押寿司。1903(明治36)年から販売されている歴史ある駅弁である。
相模近海で獲れる魚を用いた名物駅弁を作るとのコンセプトの元、選ばれたのが小鯵。それを塩で締めて酢に漬けた後、一口サイズの押寿司にしてある。丁寧に包まれた包装紙を開けると、一口サイズの小鯵の押寿司が9個、紫蘇の葉の千枚漬け巻きが2個、パック入りの生姜(ガリ)、醤油などが入っている。


押寿司というと、よく北陸の駅弁で散見されるシャリがギュウギュウ詰めになってカチカチに固まったタイプの寿司を連想するかもしれない。しかし『東華軒』さんの小鯵の押寿司はシャリが空気を含んで柔らかく調製されている。寿司といえば江戸前の握り寿司を連想する関東圏の人間にとっては、こちらの方が親しみやすいのではないか。
酢の臭いは決してキツくは無いが、しかし小鯵の生臭さはシッカリ消しているのが嬉しく、とても美味しく食べられる。また紫蘇の葉の巻物寿司は、丁度アイスクリームについているウエハースの如く、酢の味に慣れてきた舌の感覚をリセットする役にたっている。
栄枯盛衰が激しい駅弁業界にあって、定番物として生き残るには相応の理由がある。駅弁として、道中の酒の友として、また土産物として大好評の特選小鯵押寿司。オススメの駅弁である。
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