ソウル南大門火災で69歳の男を逮捕、放火を自供
(ロイター)
韓国国内のみならず、日本でも関心を集めた韓国国宝第一号・南大門(ナンデムン)への放火事件。自分も『2008/02/11 韓国国宝第一号『南大門』全焼!の悲劇』で取り上げた。

無残な姿となった南大門に手向けられた花束
(ロイター)
原因については当初から放火説が有力視されていたが、目撃証言などから有力な容疑者として韓国警察当局が取調べ中だった、仁川市在住の或る男が犯行を自供したそうだ。
この男、一昨年(2006年)にもソウル市内にある李氏朝鮮王朝時代の宮殿・昌慶宮(チャンギョングン)に放火して執行猶予付きの有罪判決を受けた前科があるとのこと。そのうえ火災発生前に目撃された不審人物と人相風体が似ていることから、当局は有力な容疑者として身柄を拘束していた。
男は「シンナーをまいてライターで火を付けた」と容疑を認める供述をしているというが、驚くべきは前回、そして今回と後世に伝えるべき自国の文化遺産に放火するなどいう恐るべき愚挙に及んだ理由である。
何でもこの男、保有する土地が宅地開発にからんだ開発対象となったが、補償金が十分に支払われなったこと、またそうした己の訴えに対し政府が十分な対応をしなかったことから、その腹いせでこのような凶行に走ったというのだ!
「恥を知れ、俗物!」
(byハマーン・カーン:機動戦士Zガンダム より)

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と、ハマーン様でなくても思わず口走りたくなるというものだ。韓国文化財庁によれば、南大門の修復には2~3年の期間と、約200億ウォン(約23億円)の費用が必要との見通しを示している。しかし、事は金額の大小の問題ではない。
南大門は李氏朝鮮王朝時代、西暦1398年の建設である。以来数多の戦乱を乗り越え、600年を越える年月を歴史に刻んできた。この年月を慮った時、個人のせせこましい感情の捌け口として放火するなど、言語道断の所業である。
…とまぁ、いくら叫んでみても、一旦失われたものは元へは戻らない。たとえ在りし日の姿と寸分違わず再現されたとしても、それは似て非なるものなのだ。一人の人間の愚行で、貴重な文化遺産が失われたことが残念でならない。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。
