そのレトルトカレーの元祖が大塚食品の「ボンカレー」。
1968(昭和43)年に世界初のレトルトカレーとして誕生したが、発売当初は革命的な商品だったことは想像に難くない。なにしろ
「カップヌードルとボンカレーばかりもってきやがった…… ボンカレーはどう作ってもうまいのだ」
(by.ブラック・ジャック:ブラック・ジャック より)

ブラック・ジャック 豪華版 コミック 全17巻完結セット (ブラック・ジャック )
食に対して拘りをみせる描写が少ない無免許(モグリ)の天才外科医ブラック・ジャックをして「どう作ってもうまい」とまで言わしめたぐらいだ。
それはさておき、同類商品が世に溢れ、また食の多様化も進んだ現在では当時のような爆発的な売れ行きは期待できない……はずなのだが、
脱マス広告! それでも売り上げを伸ばす「ボンカレー」の戦略
(マイナビニュース)
http://news.mynavi.jp/articles/2016/07/09/boncurry/
記事によれば、2013年から2014年、そして2015年とここにきて年間20%増の売り上げで伸びをみせているという。これは冒頭でも触れた電子レンジ対応商品の投入や、ホワイトシチュー仕立ての商品など、積極的に新商品を投入したこともさることながら、宣伝スタンスを従来の「印象的なテレビコマーシャルを大量に流す」マス広告戦略から、話題性のある商品を投入してウェブ媒体などから訴求していくスタンスに切り替えたことにあるとのこと。
たとえば、記事内でも紹介されているが、初のご当地ボンカレーとなる「ひなたの恵みボンカレー」。これは宮崎県の「日本のひなた宮崎県」プロモーション企画のシンボルマークが、ボンカレーのマークと似た温色同心円だったことを逆手にとったもの。

宮崎県公式サイトの画像より
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/allmiyazaki/kanko/miryoku/hinata.html
東京五輪エンブレムのデザイン盗用疑惑問題がメディアを賑わせたことは記憶にあたらしいが、よい意味での開き直りによって、話題性のある商品が生まれたのだ。
趣味の多様化により、テレビが娯楽の王様とは言えなくなっている現状、大量にテレビCMを流して訴求していくトップダウン型の広告手法よりも、話題性が高まる商品を導入してウェブ媒体などにネタにしてもらって訴求しているボトムアップ型の広告手法の方が効果的になってきているといえるのかもしれない。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。
