「つけ麺」考案「大勝軒」創業者、山岸一雄氏死去 映画にも
(産経新聞)
http://www.sankei.com/life/news/150401/lif1504010045-n1.html
大勝軒・山岸さん偲ぶ“追悼の1杯”求め列
(スポーツ報知)
http://www.hochi.co.jp/topics/20150402-OHT1T50292.html
評論家・大崎裕史氏「ラーメンの神様」…大勝軒・山岸さん死去
(スポーツ報知)
http://www.hochi.co.jp/topics/20150402-OHT1T50072.html
東京・池袋の人気ラーメン店『東池袋大勝軒』創業者の山岸一雄(やまぎし・かずお)氏が、心不全のため東京都内の病院で死去された。80歳だった。
山岸氏は、皿やザルに盛った中華麺を、別の器に注いだスープに日本蕎麦のごとく一口分づつ浸けながら食べる“つけ麺”の考案者として知られ、「有名ラーメン店の名物オヤジさん」という枠に留まらない、日本の食文化に大きな足跡を残した人物である。
つけ麺は元々正規メニューではなく、山岸氏が仕事の合間に食していた賄い(まかない:従業員用の食事)だったのだが、お客さんからのリクエストでメニューに加えたところ好評を博した。そして評判を聞きつけた他店が同様の料理をメニューに加えるのに然程時間を要さず、つけ麺は多くのラーメン店で定番メニューになっただけでなく、つけ麺専門店ができるほどにまで市民権を得た。これは、味の目新しさもさることながら、つけ麺は暑い日でも苦にならず食べられるので「夏場に売上が落ちやすい」というラーメン店の弱点をカバーするのに調度良かったからだと私は推察している。
ともあれ、多くの店で扱うようになればバリエーションが増え、改良が加えられるのも世の習い。例えば、つけ麺は熱いスープに冷たい麺を浸けて食べるのでスープが冷めやすい……つまり味の劣化が早いという指摘が当初からあった。しかしスープを入れている器に焼き石を投入したり、器を熱した石鍋・鉄鍋にしてみたり、あるいはIHヒーターで器を温める、といった対策を取るお店が出てきて久しい。山岸氏が芽生えさせたつけ麺という木は、多くの人々の手によって未だ成長を続けているのである。
そして「多くの人々」といえば、山岸氏が多くの人々にその人柄を慕われ、故に多くの弟子が山岸氏の元に集まり、そして巣立っていった事を忘れてはならない。私も、特に学生の時には何度も山岸氏の店に足を運んだが、そのたび、常連客でも一見(いちげん)客でも分け隔てなく温和に丁寧に応対する山岸氏の姿に感動したものだ。
とりとめのない文章になってしまったが、仕事で大きな足跡を残し、80歳の天寿を全うされ、
「…ヤン元帥も亡くなられたビュコック元帥も、幸せな方だな。みんなに慕われ、敬愛されている。」
(by.ベルンハルト・フォン・シュナイダー:銀河英雄伝説 より)

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亡くなられた後もみんなに慕われ、敬愛される山岸氏の人生は、非常に満ち足りたものであったと思う。ご冥福をお祈りし、本稿の末尾としたい。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。
