2007年05月01日

役者への夢が絶ち難かった教師への、兼好法師からの忠告

神戸市教委:先生はTVタレント 戒告処分に
毎日新聞

無断でテレビドラマのエキストラ役などをしていた神戸市の市立小学校の男性教諭(41)が、タレント名鑑に本名と顔写真が載っていたため“アルバイト”が発覚し、戒告処分になったという。

この教諭は「趣味の範囲でやっていたので問題はないと思っていた」と話しているそうだが、地方公務員法第三十八条に「職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。」とある。今回のケースは「任命権者の許可を受け」ずに無断でTV出演した事でこれに抵触したことになる。

まぁ「若かりしころの夢を忘れがたく…」というのは、心情的には理解できる。世の中、

「選びえなかった道の先にこそ、本当に望んだものがあったのではないか?」
(byギルバート・デュランダル:機動戦士ガンダムSEED DESTINYより)

という想いを抱かない人の方が珍しいだろう。しかし吉田兼行(兼行法師)が徒然草の中でこんなことを書いている。

或人の云はく、年五十になるまで上手に至らざらん芸をば捨つべきなり。
(徒然草:第百五十一段より)

現代語に意訳すると「或る人が言うには『50歳になるまでに上手にならない芸など捨ててしまえ』ということだそうだ」といったところ。ちょっと聞いただけだと「酷いことを言うなぁ」と思うかも知れないが、兼好法師は

励み習ふべき行末もなし。老人の事をば、人もえ笑はず。衆に交りたるも、あいなく、見ぐるし。

と続けている。こちらを現代語に意訳すると「たしかに練習しても将来的にそれを披露できる場はない。年長者のやることだから他人も笑うわけにはいかない。しかしそういった人が若い連中に交じって練習している姿は可哀想で見苦しい」といった感じだろうか。こちらも結構酷い台詞だが、これを全否定できるのは「信じれば夢は必ず叶うんだ!」と何の躊躇いもなく口にできるアニメのヒーローだけだろう。

繰り返しになるが、件の教諭の行動は心情的には理解できる。しかし多方面に迷惑をかけてまで行わねばならない事かといわれると疑問符が付く。年齢を重ねるごとに、背負うべき社会的責任もまた大きくなるからだ。若かりしころの夢は、演劇部の顧問に就任するなどして発散させれば良かったのに…。


学校の古典の授業でお馴染み


posted by 只今(橘カヲル) at 00:00| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑感:事件 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
参照◆副業を、会社が許可せざるを得ない究極の理由
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=2288

受け売りとは別に、高級官僚になると副業が許される。例えば
官僚が本の監修代金をアルバイト代として受け取り、その本を役所に買わせるなんてことが、テレビで取り上げられても、その官僚が副業禁止でクビになったと言う話は聞きません。
どこか、おかしな社会、それが日本ではないでしょうか。
Posted by のびぃ太 at 2007年05月01日 22:15
>のびぃ太さん
地位と権力があれば正当性はいくらでも後付けできる。現在社会の縮図のような話ですね。頭が痛い…。
Posted by 只今 at 2007年05月02日 23:28
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