アメリカ大リーグ(MLB)・ニューヨークヤンキース所属のマイケル・ピネダ投手が、今月23日に行われたボストンレッドソックス戦にて、松ヤニを使用した不正投球、いわゆるスピットボールを投げたとして退場となり、翌日には10試合の出場停止処分となった。
2回裏、同投手の首筋に松ヤニが塗りつけられているのを、レッドソックスのジョン・ファレル監督が球審に訴えた。球審が同投手の首筋に触ると、茶色の物体が確認されたため、同球審は即刻ピネダに退場を言い渡した。本人も「初回の投球でボールが滑って苦労したため、松ヤニを使った」と認めているという。
ベタベタと粘着性がある松ヤニは滑り止めとして幅広く用いられ、野球の世界でもロージンバッグの中身としてお馴染みだ。投球前のピッチャーが白い粉の入った袋(ロージンバッグ)を手のひらでポンポンと軽く弾ませている姿を野球中継などでご覧になった方も多いのでは? そもそもロージンバッグ(rosin back)とは「松ヤニ入れ」の意味である。
しかし野球のルールでは、投手がボールを故意に傷つけたり、ボールに対して異物を付着させることを禁じており、ピネダ投手はこれに違反したのだ。
(1)ピッチャーが投手板を囲む18フィートの円い場所の中で、投球する手を口または唇につけた後にボールに触れるか、投手板に触れているときに投球する手を口または唇につけること。ピッチャーは、ボールまたは投手板に触れる前に、投球する手の指をきれいに拭かなければならない。(後略)
(2)ボール、投球する手またはグラブに唾液をつけること。
(3)ボールをグラブ、身体、着衣で摩擦すること。
(4)ボールに異物をつけること。
(5)どんな方法であってもボールに傷をつけること。
(6)本項の(2)~(5)で規定されている方法で傷つけたボール、いわゆるシャインボール、スピットボール、マッドボールあるいはエメリーボールを投球すること。(後略)
【参考】公認野球規則8.02「ピッチャーの禁止事項」より
http://asaka-aba.net/kisoku.html
更に文中(6)の用語を簡単に解説する。
A.シャインボール
凹凸を無くしツルツルになった(した)ボール
B.スピットボール
ボールに唾や汗、松ヤニなどの異物を付着させたボール
C.マッドボール
グラウンドの土を付着させたボール
D.エメリーボール
ヤスリ等の道具などで傷をつけたボール
なぜ、これらの行為が禁止されているかというと
「鉄球は光のヒビに一部をけずり取られた『楕円』だッ!『真球』ではなく『楕円球』の回転になって激突したッ!」
(by.ファニー・ヴァレンタイン:スティール・ボール・ラン より)
Real Action Heroes STEEL BALL RUN ジャイロ・ツェペリ
投擲時に、偶然によって鉄球に傷がついた影響で不完全な回転となってしまい、ジャイロ・ツェペリが敗北する原因になってしまったが、このように傷や異物はボールに不自然な回転を掛ける元となり、投球した際に想定外の変化をもたらしてしまうからだ。ちなみにAのシャインボールは意図的に凹凸を無くすことで想定外の回転が起こるのを期待するもので発想は同じである。
ところでスピットボールの類は故意か偶然かの判断が難しい部分があるので、ある程度はスルーされる場合もある。しかしピネダ投手のケースは必要性の薄い首筋に松ヤニをベッタリ塗ってボールに付けていたのだから言い訳はできないだろう。
本人は「チームメートとみんなに謝りたい。もうこんなことはしない」とコメントしている。まだ25歳と年齢も若いのだから、今後は自分の言葉を守って欲しいところ。
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