2013年06月27日

71歳男性のNHK提訴に見る、外来語をそのまま使用する現代の風潮について



NHKは外国語使いすぎ!71歳男性「内容分からない」と提訴
(スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20130626-OHT1T00231.htm

NHKのテレビ番組で理解できない外国語が乱用されて精神的苦痛を受けたとして、岐阜県可児市の任意団体「日本語を大切にする会」で世話人を務める高橋鵬二さん(71)がNHKに141万円(注:地裁では「140万円を超える請求」を求める訴訟を扱うとされているため)の慰謝料を求める訴えを名古屋地裁に起こした、と記事は伝えている。

訴状によれば、NHKでは報道、娯楽番組を問わず「リスク」「システム」「トラブル」「ケア」などの外国語が多用されており、番組名にも「BSコンシェルジュ」「スタジオパークからこんにちは」「ほっとイブニング」「Sportsプラス」「Shibuya Deep A」などと用いられていると指摘。日本語で容易に表現できる場合でも使われているとし、NHKが日本語を軽視するような姿勢に強い疑問があるとしている。

記事によれば、現在「日本語を大切にする会」を実質1人で運営する高橋さんは取材に応じ「若い世代は分かるかもしれないが、年配者は、アスリートとかコンプライアンスとか言われても分からない。質問状を提出したのに回答がなかったので、訴訟に踏み切った。NHKだけの問題ではないが、公共放送は特に影響力が強い。年配者にも分かるような放送にしてほしい」と話したとのこと。

また高橋さんの代理人・宮田陸奥男弁護士は「彼の訴えの根底には日本文化の軽視と急速な欧米化への憂慮がある。今回は裁判は勝ち負けではなく、問題提起の意味合いが強い」と説明。「ニュースや、解説でも多用されているのもどうか。(提訴に)批判があるのも承知している」と述べたという。

これについては、私も共感するところがある。例えばアパレル関連のニュースなどで「アーティスティックな感性を基に、クチュール的なディテールを取り入れて、フェミニンさを洗練されたアート的な感覚で表現します」なんて報じられたら、私だって

「ここではリントの言葉で話せ」
(by.ラ・バルバ・デ(バラのタトゥの女):仮面ライダークウガ より)

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仮面ライダー クウガ Vol.3 [DVD]

ぐらいの事は言いたくなる(苦笑)。

実際、高橋さんが例に挙げている「アスリート」は運動選手、「コンプライアンス」は法令遵守でいいはずだし、その他にも「インサイダー」は内部関係者、「アウトソーシング」は外部委託、「アライアンス」なら提携と言えば事足りる。

NHKが日本語を軽視しているかどうかは別の話として、このように外来語を適切な日本語に訳さずそのまま乱用する姿勢を取る理由として考えられるのは、報道する側(今回の場合はNHK)に「より分かりやすく伝えよう」とする意思が欠如しているからではないだろうか。

私も仕事柄、対外的に専門用語を多用した文章を書く必要に迫られることがあるのだが、なるべく別の言葉に置き換えたり、括弧書きで言葉を足したりする。そうしなければ読み手に真意が伝わらないからだが、NHKは報道に携わるものとして、そのあたりをどのようにお考えなのだろうか。まさか自分たちが言葉の意味をシッカリ把握していないから、そのまま右から左へ流しているわけでもあるまい? 我々から受信料を徴収することで成り立っているNHKが、そんな安直な報道姿勢のはずはないと思うが……。

文明開化となった明治時代、それまで日本には無かった学問や専門用語、概念が西洋から怒涛のように流れこんできた。明治の先人たちは、例えば【economy】を「経済」、【philosophy】を「哲学」、【information】を「情報」といったように、片っ端から日本語に訳す……というより、原語に見合う言葉を創造していった。

それまでの日本文化と比べれば異質の極みとも言える西洋文明を短期間で習得し、近代国家の仲間入りを果たせたのは、日本人にもわかりやすいようにと熱心に翻訳を続けた先人たちの努力の賜物だったのではないか? この記事を読んで、ふと、そんなことを思った。


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posted by 只今(橘カヲル) at 23:25| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感:社会 | 更新情報をチェックする
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