2013年01月28日

人気力士、高見盛関の引退報道に寄せて

高見盛が引退表明 年寄「振分」襲名…初場所千秋楽
(スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20130127-OHT1T00112.htm

大相撲の元小結で、取組前に独特のユニークな仕草で気合を入れることで知られる人気力士の『ロボコップ』こと高見盛関が、昨日、東京都内で記者会見し現役引退を表明した。



今場所は右肩を負傷。千秋楽こそ白星を掴んだものの、5勝10敗の成績に終わり幕下陥落が確実になった。本人曰く「体がぼろぼろで、自分の中での力士でいられるラインを出てしまい、力が出ない」として、引退を決断するに至った。今後は年寄『振分』を襲名して後進の指導に当たるとのこと。

高見盛関は、大相撲に興味の無い一般人でも、顔と四股名が一致する日本人力士として貴重な存在だった。若貴ブームが去ったあとの相撲界を、とりわけ人気面で支えた功労者といえる。なにしろこの御仁、その独特で個性的でユニークな性格からエピソード(ネタ?)に事欠かないのだ。

◆きまじめ 「曙と歩いてるときに、高見盛の手をつかんで曙の体にぶつけたら、高見盛は『この手が、この手が…』と言って、血が出るまで地面にたたきつけていた。冗談できないと思った」(元貴闘力)

◆頑固 「立ち合いで動いて変化して当たれば? って言って『はい』と言うんだけど、その後で『オレはそんなことできない!』って。変化したことはないんじゃないかな」(元心勇)

◆本番に強い 「普段は(相撲)部員と10回やって10回負けるんだけど、大会に行けば勝ってくる。本番だから勝つとか、練習だから手を抜くとかでなく、そういう器用な子でない。親でも不思議です」(母寿子さん)

◆太っ腹 「03年名古屋場所8日目に横綱朝青龍を破って金星を挙げて、懸賞金3本を付け人3人に1本ずつ手渡す」(東関部屋の松本権二マネジャー=元付け人で元幕下心勇)

◆優しさ 「誕生日の時に部屋に帰ると寝床にPSP(プレイステーション・ポータブル)を置いてくれていた。前もって欲しいと言ってたんだけど、びっくりした。そのころは売り切れ続出の人気商品だっったから。『探し回った』と言ってた」(元心勇)

◆耳栓 「翌日の対戦相手が誰か、絶対に知ろうとしない。当日の支度部屋に入って、取組表を見て分かる。それまでに『明日の相手は…』と教えようとすれば『ワーッ』と叫んで聞こうとしない。テレビ番組を見るときも耳栓したり、わざとトイレに行って情報をシャットアウトする」(元心勇、幕下華王錦ほか複数関係者)

◆マイペース 「場所前に付け人とご飯食べに行くときも、自分が食べ終わったら『もう帰る』って言って店を出る。2人1部屋のとき、夜中に帰ってきて僕が寝てても、音楽かけたりテレビつけてゲラゲラ笑ってたこともあった」(元心勇)

◆マイペース2 「3人で高いすし屋に行って4万~5万円したんだけど、高見盛は『先に帰ります』と言って、店の張り紙に書いてあった1人前代金の5000円だけ、置いて帰った」(鎌苅忠茂氏=元関脇貴闘力)

◆泥酔 「酔っぱらって自動販売機と相撲をとっていた。右かいなを返してた」(元心勇)

◆えずく 「勝ったときは風呂場でオエーッ! ってえずいていた。理由を聞くと『儀式です』と言ってた。場所に入ってからトイレに行く回数も他の力士より多い。5、6回行ってる」(元心勇)

◆チャリ好き 「場所に行くタクシー以外は、自転車が主要交通手段。年間1万キロくらい行ってるんじゃないかな。秋葉原や御徒町行くときもチャリを使う」(元心勇)

◆ノリノリ系 「音楽はユーロビートが好きだった。TMレボリューションはずっと好き。カラオケで吉幾三の歌を歌わせると(東北の)ズーズー弁がうまいから、みんなが喜ぶ」(元心勇)

◆学生時代 「中国語の授業で教授に当てられると僕は毎回分かりませんと答えていたけど、高見盛は分かってないのに何かしら言うんですよ。となりで恥ずかしかった。でも、彼はずっと授業に出続けて単位を取った。僕は行かなくなって単位を落としました」(日大同期の田宮啓司氏=元大関琴光喜)

◆験担ぎ 「場所前の日にステーキ食べて初日に勝ったら、勝っている間は5日連続同じ店でステーキ食べてた。飽きない? って聞くと『大丈夫』です。場所までタクシーで行く順路も、勝っている間は遠回りでも同じ順路で行っている」(元心勇、華王錦)

◆ゾーン 「場所入りするときに協会幹部の人と会っても、集中して周りが見えなくなっているんで、気付かないんです。だから前を歩く僕たちが先にあいさつする。すると関取も頭を下げてくれる」(華王錦)

◆体が硬い 「股割りができなくて、1回無理やり背中を押したら、足が反対(逆ハの字)を向いて驚いた。腕立て伏せも高1のときは7回しかできなかった」(関ノ戸親方)

◆こだわり 「場所中は刺し身を食べない。おなかが冷えるから。でも、たたきは食う。納豆も毎日食べるけど、場所中はなぜか食べない」(元心勇)

◆泣き虫 「昔はよく泣いてた。中学横綱で高校に入ってきたけど稽古で勝てなくて泣いて。要領悪くて人より行動が遅れて泣いて。突然いなくなったときがあって、探しに行ったら校舎の陰で『ワーッ』て泣いてた」(青森・弘前実高時代の1年先輩、関ノ戸親方=元小結岩木山)

◆負けず嫌い 「僕が三段目のころに、出稽古での申し合いで何番も勝ってしまったんです。悔しかったのか、土俵でいきなり、ラリアットとキックをされた。親方たちや他の関取たちもいるのに、ビックリしました」(十両千代の国)

【引用】酔って自販機と相撲/高見盛伝説(日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/sports/sumo/news/p-sp-tp3-20130128-1077622.html

ただ、高見盛関はこうした方面ばかりが話題に上るが、相撲には一途に取り組んでいた。引用したエピソードでも触れられているが、立合いで変化(相手の左右へ身を躱すこと)せずに正面からぶつかり続けた。

前述した取組前の仕草にしても、場所中に怪我をした経験から立ち合いでの恐怖を取り除くために行なっているもので、決してウケ狙いのパフォーマンスではない。高見盛関が人気力士として人々に愛されてきたのは、こうした相撲に対する真摯な姿勢を、取組を見ている人々が感じ取ったからではないだろうか?

高見盛改め振分親方は「どんな相手にも正面からぶつかる力士を育てたい」と語った。満身創痍にも関わらず、なお最後の最後まで全力で勝負に挑んだその姿は

「本当に…兄貴………ううっ。 そのとおりだったんだね。『いったん食らいついたら、腕の一本や二本、失おうとも、決して「スタンド能力」は…………解除しないと』 オレに言った事は!!」
(by.ペッシ:ジョジョの奇妙な冒険第五部 より)

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ジョジョの奇妙な冒険 53 (ジャンプ・コミックス)

走行中の列車から転落させられて瀕死の重傷を負いながらも戦いを放棄しなかったプロシュート兄貴のように(?)後進の心を打つことだろう。よき師匠として新たな人生のスタートを切る振分親方を応援したい。


◆最後までお読み頂きありがとうございました。
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posted by 只今(橘カヲル) at 23:59| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感:スポーツ | 更新情報をチェックする
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