地方の土産物というのは、例えば北海道の『白い恋人』や仙台の『萩の月』、山梨の『信玄餅』や浜松の『うなぎパイ』、広島の『もみじ饅頭』といったように「これさえ買ってくれば大丈夫…」というような定番商品もあれば、「へーっ、こんなのもあるの?」といった趣の珍品もある。

山口県限定『晋ちゃん応援まんじゅう』
これなど、後者の部類に属する典型的なものだろう。NHK大河ドラマの主役にご当地の英雄が抜擢されると、必ずといっていいほど彼らを題材とした駅弁などが製作されるが、ノリは一緒の商品だと思われる。


箱の裏書には安倍家の華麗なる系譜や山口県の観光名所が記されており、故郷が生んだ8人目の総理大臣を祝福し、また8人もの総理大臣を輩出した山口県への郷土愛がアピールされている。なぜこんな構成になっているかというと、山口県民の郷土自慢として「総理大臣出身者が一番多い県」というのがあるから。幕末維新の原動力となった旧長州藩の気風を受け継いでいるからか、山口県は総理大臣だけに限らず、有力政治家を多く排出する土地柄として知られている。

中身は大人の親指と人差し指で輪を作ったぐらいの大きさの薄皮饅頭が1箱に12個入っている。


皮は黄な粉味で、餡は黒ゴマ味。皮は、安物の薄皮饅頭にありがちな妙にパサパサしていて食べると口の裏側にへばりついて往生するといったことが無く好感が持てる。また餡は一口サイズなのも手伝って後味が残るようなしつこい甘さが残らないので、食後の口直しやお茶受けとして適任の品である。この手の「キャラクター商品」にありがちな、キャラクターの知名度だけで勝負せず、ちゃんと味の組み立て方を考えているのは好感が持てるところ。
ところで興ざめするようで恐縮だが、実はこのお菓子、パッケージが違うだけで中身が同じものなら東京駅の土産物コーナーでも手に入る。以前『Excite Bit コネタ』でも紹介されていたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれない。
やっぱり出た! 「誕生!晋ちゃんまんじゅう」
(Excite Bit コネタ)
しかし、味が同じだからといって東京駅で買って済ますというのは、真の漢(おとこ)の採るべき道ではない(笑)。中身が一緒でもパッケージが違えば別の商品である(マニアには常識)との認識を持って、さぁ山口県まで、レアものハンティングにGO!
山口県出身の総理大臣8名
もちろん、そのときはコッソリとフェードアウト…。