2012年09月22日

正露丸訴訟について一言

ラッパマークない…正露丸訴訟 大幸薬品が敗訴
(読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120921-OYO1T00285.htm

大手製薬会社・大幸薬品が、自社製品『セイロガン糖衣A』と類似したパッケージの胃腸薬を販売しているとして、同社が富山の製薬会社・キョクトウに対し、製造・販売の差し止めなどを求めた訴訟について、大阪地裁は大幸薬品の請求を棄却した。

大阪地裁はキョクトウの商品のパッケージについて「大幸薬品の商品に比べ、文字の大きさ、字体、その配置なども明確に異なる」、「キョクトウの商品には『ラッパのマーク』がない」など指摘した。大幸薬品は「理解を得られず残念」とし、キョクトウは「当然の判決。今後も安全な製品を提供していきたい」とコメントしているという。

正露丸とは、ブナの木などから得られる乾留物を精製・蒸留して作る日本薬局方クレオソート(木クレオソート)を主成分とする胃腸薬(止瀉薬)のこと。私も時折お世話になる。家庭の薬箱にストックされてる方も多いのではないだろうか?

独特の臭いと苦味があるが、下痢・食あたり・水あたりのほか、歯に詰めれば虫歯の痛みにまで効くとされており、日本のみならず外国にも愛用者は多いそうだ。良質なダイヤモンドの産出で知られる島国・マリネラ王国の国王に至っては、

「正露丸のせコーラかけご飯」
(by.パタリロ・ド・マリネール8世:パタリロ! より)

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パタリロ!―選集 コミック 1-46巻 セット (白泉社文庫)

という、本人曰く「正露丸の臭いをコーラが消してえもいわれぬ」ものを食すと聞いたことがある。

それはさておき、今回の訴訟記事を読むにあたり心に停めておかなければならない点がある、それは正露丸は元々『征露丸』と書き、1903年(明治36年)に陸軍軍医学校によって開発され、日露戦争に従軍する兵士達に配られたものを起源とする説が一般的であること(大幸薬品は自社のオリジナル開発を主張)。征露丸の「征露」とはロシア征伐の意である。

征露丸は、その殺菌力の高さで、本来は脚気治療への効果を期待されて開発されたそうだ(当時、脚気は微生物による感染症と考えられていた)。当初は独特の臭いと苦味で兵士に不評だったそうだが、明治天皇の名を借りて奨励したところ普及に成功した。

期待された脚気への効果は無かったものの、日露戦争から復員した軍人たちによって止瀉や歯痛止めとしての効能が知れ渡り、旧日本陸軍はパテントを民間に分け与えた。そのため民間でも数十社で征露丸が製造、販売されるようになり、第二次世界大戦終結後は正露丸と名を改めて現在に至っている。
※現在でも一社のみ征露丸の名前を使用している会社がある。

【参考】
正露丸(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E9%9C%B2%E4%B8%B8
大幸薬品(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B9%B8%E8%96%AC%E5%93%81
東京都薬剤師会・北多摩支部 おくすり博物館 軍隊と薬、征露丸
http://www.tpa-kitatama.jp/museum/museum_48.html
・・・など他多数。

長くなってしまったので纏めに入るが、要は「正露丸は大幸薬品がオリジナルで、他社のはコピー」と捉えるのは早計ということ。実際、その昔に大幸薬品は「正露丸」の名称の独占的使用権を主張して商標登録を行ったのだが、紆余曲折の末、最高裁による商標登録の無効判決が確定している。だから今回の訴訟でも、大幸薬品はパッケージデザインなどを槍玉に挙げているので、注意されたし。


◆最後までお読み頂きありがとうございました。
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ラッパマークない…正露丸訴訟、大幸薬品が敗訴
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120921-00000301-yomidr-soci
posted by 只今(橘カヲル) at 23:16| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感:地域 | 更新情報をチェックする
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