2012年08月05日

私が思う、SHARP凋落の原因

シャープ“聖域”にメス 創業100年目に待ち受ける過酷な試練
(SankeiBiz)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120804/bsb1208040830001-n1.htm

リストラに踏み切るシャープ、事業再編で「新しいテレビを」
(ITmedia)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1208/03/news025.html

大手電機メーカー、シャープが今月2日に発表した本年度第一四半期の決算は、1384億円の赤字という厳しい結果だった。これを受けて同社では、本年度中に国内外で社員約5,000人の削減を決めた。シャープの業績が悪化した原因として、海外のライバル企業との価格競争激化による収益の悪化、テレビに代表される液晶関連製品の販売数そのものの低迷、などが挙げられている。

しかし世間的には、「液晶のシャープ」として同社が我が世の春を謳歌していたとき、1兆円(!)もの資金を投じて大阪府堺市に超巨大工場を建設したものの、その後の液晶パネルの価格下落などに対応できず、投下資金が回収できなかった・・・つまり経営戦略の失敗を、業績不振の理由として挙げる声が少なくないのも事実である。

大型の設備投資をしてから、それが稼働するようになるにはタイムラグ(時間差)があるので、その間にマーケットが大きく様変わりするのは決して珍しいことではない。なので堺工場立ち上げ失敗の責任を全て当時の経営陣に求めるのは酷かもしれないが、それを承知する代わりに高給を得ているのが経営陣であるともいえる。

ところで、決算発表の席上、同社の奥田隆司社長は社員削減について「断腸の思いだが、今やらないと次の成長はない。上期に膿を出しながら下期から再生する不退転の決意で臨む」と述べたという。

この場合の“膿”とは白血球の死骸を指す言葉ではなく、組織や団体内部に蓄積した問題点や弊害を意味した比喩と考えられるが、「断腸の思い」と言いつつ解雇する社員を膿(蓄積した問題点)呼ばわりするところに、言葉の綾では済まされない経営陣の傲慢が見て取れるのは私だけだろうか?

自分たちの経営戦略の失敗が会社の惨状を招いているという自覚がなく、「売れるものを作れないアイツらが悪い」と、従業員に責任を転嫁する気持ちが心のどこかにあると指摘されても仕方がないのではないか? そして、そうした経営陣の腐敗した気持ちこそが、ライバル会社の台頭や経営戦略の失敗以上に会社を傾かせる原因となっていると私は思う。

「およそ、国内が強固であるのに、外敵の攻撃のみで滅亡した国家というものはありませんからな。内部の腐敗が、外部からの脅威を助長するのです。そして、ここが肝腎ですが、国家というものは、下から上へ向かって腐敗が進むということは絶対にないのです。まず頂上から腐りはじめる。ひとつの例外もありません」
(by.アドリアン・ルビンスキー:銀河英雄伝説 より)

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これは国家についてのセリフだが、企業も同様であろう・・・。


◆最後までお読み頂きありがとうございました。
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<資本提携>シャープ再建正念場…鴻海、内容見直し
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120804-00000070-mai-bus_all
posted by 只今(橘カヲル) at 11:52| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感:経済 | 更新情報をチェックする
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