テレビ時代劇を代表する存在であるTBS系『水戸黄門』が、現在放送中の第43部で終了するという。1969(昭44)年の放送開始から42年、放送回数は1200回以上、最高視聴率43.7%という息の長いシリーズなので、特に時代劇に興味がなくても「見たことはある」、「だいたいの内容は知っている」という人が多い。
「外道衆共、よーく聞け!こちらにおわすのは、300年の昔より貴様たちを葬ってきた侍の末裔、志葉家18代目当主である、シンケンレッド・志葉丈瑠様だ! さあ、恐れ入って隙間へ帰るか、殿の刀の錆となるか、しかと……」
(by.日下部彦馬(※):侍戦隊シンケンジャー より)
※演じたのは長らく『水戸黄門』において渥美格之進(格さん)役を務めた伊吹吾郎氏。

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といったようなセリフがパロディとして成立するのは、水戸黄門の劇中における決め口上のひとつ「この紋所が目に入らぬか! こちらにおわすお方をどなたと心得る。畏れおおくも、先の副将軍水戸光圀公にあらせられるぞ!」が元ネタであることを理解できる人が多いからだ。
しかしそんな優良番組も近年では視聴率低下に苦しみ、キャストの入れ替えなどを試みたものの数値は回復せず、今回のシリーズでも平均視聴率が10%前後だったため、スポンサーサイドも継続を断念したとのこと。記事中では、最後の黄門様となった里見浩太朗氏が、その無念さを語っている。
ぶっちゃけ、凋落激しい今のTBSで視聴率10%前後が稼げるなら十二分に優良なコンテンツだと思うのだが(笑)時代劇は時間も費用も掛かるので、費用対効果の問題なのだろう。ギャラの安い若手のお笑い芸人やグラビアアイドルを雛壇に並べて雑談させたり、安く権利を買い受けた海外ドラマをそのまま放送しているほうが効率的という訳だ。
水戸黄門の終了で怖いのは、時代劇の製作機会が減少することで、時代劇の芝居や殺陣における立ち振る舞いなど、時代劇の製作に関するノウハウが失われることだ。マニュアルに従えば一通りの事ができる機械操作とは違い、場数を踏んで覚える類の技術だからだ。
同じTBS系『JIN-仁-』のヒットを例に引くまでもなく、よく指摘される「視聴者の時代劇ばなれ」については私は否定的な見解を持っている。水戸黄門も、レギュラー放送を続ける力はなくなったかもしれないが、番組改編期の特番などであれば、まだまだ価値のあるコンテンツではないだろか。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。

水戸黄門、今期で制作終了=TBS
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110715-00000047-jij-soci