
神田まつや (そば(蕎麦) / 淡路町駅、小川町駅、新御茶ノ水駅)
東京メトロ丸の内線の淡路町駅から靖国通りを秋葉原方面に向けて数分ほど歩くと、近代的なビルの一画に歴史を感じさせる風格を持つ建物が突如出現する。こちらが『神田まつや』さん(詳しい場所は上部リンク先、または記事下の地図を参照)。
1884(明治17)年創業の同店は東京屈指の蕎麦の名店として知られ、メディアへの露出も数知れない。食通として知られた文豪、池波正太郎翁も足繁く通ったことで知られる……などと私が講釈せずとも、ご承知の方は多いことだろう。それぐらいの名店である。

店内の様子
11時半を少し回ったぐらいの時間に入店したが、蕎麦を手繰る人、肴をつまみながら日本酒を楽しむ人など店には思いのほか来訪者がいて、一人客だった私は花番(給仕役)の方に相席をお願いされたほどだった。名店に天候のハンディは関係ないのだと知った。

もり(600円:税込)
まずは、もりそば。同店に来たならば、各地から厳選して取り寄せた蕎麦粉を手打ちし、茹で立てにて提供される、これを口にしなければ始まるまい。

「老舗なのだから手打ちなんて当たり前」と考えるなかれ。小規模な個人店舗ならいざ知らず、60席以上もある同店の規模と繁盛度合いを考えれば、効率面から機械製麺を採用せず手打ちに拘る――正確には1963(昭和38)年に機械製麺から手打ちに戻している――のは凄いことだと思う。

『神田まつや』さんの箸袋
恥ずかしながら鶏卵をつなぎに使用していることを今回の来訪で始めて知った。

辛味が強くダシをシッカリと利かせた濃い味のツユに全体の1/3ほどつけて手繰る蕎麦は、コシも喉越しもとても良く美味しい。値段の割に量が多目というコストパホーマンスの良さも有り難い。

カレー丼(吸い物、香の物付き 1000円:税込)
さて蕎麦を手繰り終えて暫く待つと、今回のお目当てであるカレー丼が到着。

蕎麦好きなら知らない人はいないであろうというレベルの老舗名店でありながら、カレー丼や親子丼といった庶民的なメニューを残してくれている『神田まつや』さんに、私はすごく惹かれる。

カレー専門店のカレーと一線を画す甘辛い和風ダシの利いたカレーは、ものの本によればカツオ節・サバ節・宗田節でダシを取っているとのこと。つまり蕎麦ツユを作る材料と技法を応用しているのだ。カツオブシを中心とした日本人に馴染み深い味が根底にあるからこそ、このカレー丼を美味しいと感じるし、また暫くすると無性に食べたくなる習慣性を生み出すのだろう。

なお卓上の柚子七味を掛けると、刺激が加わってカレー丼に新たな美味しさが生まれる。この七味唐辛子も、同店のオリジナルブランドである。
『神田まつや』さんほどの蕎麦の老舗でカレー丼を注文するなんて気が引ける所もあるが、そうした背徳感もまた同店のカレー丼の味を膨らませる一因かも!? 皆さんもお試しあれ。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。

