映画やテレビドラマなどで活躍した俳優の田中実氏(44)がマンションの自室で首を吊って死亡いるのが発見され、病院に搬送されたが死亡が確認された。前日の25日には仕事の予定があったが、予定されていた撮影現場に姿を見せず、不審に思った担当マネージャーと田中氏のお母様がマンションを訪れたところ、首をつった状態で発見されたとのこと。遺書は見つかっていないが、争ったような跡がないことなどから警察では自殺とみているそうだ。
田中氏は俳優の仲代達矢氏が主宰する無名塾の出身。1990年のNHKの連続テレビ小説『凛凛と』で、同シリーズでは非常に珍しい男性主人公として主演し注目を集めた。そしてTBS系列の昼ドラマ『温泉へ行こう』シリーズではヒロインの夫で温泉旅館の支配人役を演じ、人気が定着。その後も2時間ドラマなどに多数出演していた。
という通り一遍の紹介はさておき、私にとって田中氏は『ウルトラマンメビウス』に出てくるCREW GUYS(クルー ガイズ)のサコミズ・シンゴ隊長に他ならない。私の中では40年以上続くウルトラシリーズの登場人物でも屈指の好キャラクターという印象だっただけにショックを受けた。
ウルトラシリーズには、ウルトラマンと共に地球を守る地球防衛チームの存在が、ドラマ展開上もスポンサーの商品販売促進の都合においても(笑)欠かせない。そしてサコミズ隊長は、この手の役柄のテンプレートである『厳しくも頼もしいベテラン指揮官』とは一線を画す『人当たりがよく物静かで柔和であるが、その奥には強い意思も垣間見える』人物として描かれていた。
思えば非常に難しい役柄だと思うが、放映当時に何の違和感も感じ無かったのは、田中氏の名演あってこそなのだと今にして思う。
上の動画は、侵略者との最終決戦を前にしてサコミズ隊長が自らの本当の身分(GUYS JAPAN総監)を明かし、演説に臨むシーン。ぜひ動画で見ていただきたいが、削除されたりする可能性もあるため、演説の内容をテキストに起こしておく。アジ演説のように大衆を煽るようなタイプではないが、聞く人の心を揺さぶる名演説であると私は思う。
「みなさん、CREW GUYS JAPAN総監、サコミズです。タイムリミットまで一時間。まず最初に伝えるべきことがあります。メビウスは、CREW GUYSの一員です。今、多くの人が驚き、動揺しているでしょう。ですが少しだけ、私の個人的な話を聞いて下さい。
むかし私が、亜光速で宇宙を飛んでいたとき、侵略者から地球を守るため、人知れず戦っている、ウルトラマンを目撃しました。そのとき彼は言いました。『いずれ人間が、自分たちと肩を並べる日が来るまで、我々が侵略者の盾になる』と。
彼らは人間を愛してくれた。そして人間を、命がけで守り続けてくれた。私たちは、その心に応える責任がある。
『地球はわれわれ人類、自らの手で守り抜かなければならない』……ウルトラ警備隊、キリヤマ隊長が残した言葉です。
この言葉は、ウルトラマンが必要でないと云っているわけではありません。彼らの力だけに頼ることなく、私たちも、共に戦うべきだと伝えているのです。
最後まで希望を失わず、ウルトラマンを声援する。それだけでも、彼らと、共に戦っていると云えるのです。彼らに力を与えることができるのです。
お願いします。今こそ勇気を持って下さい。侵略者の脅しに屈することなく、人間としての……意思を示して下さい。ひとりひとりの心の声に従い……、最後の答えを出して下さい」
(by.サコミズ・シンゴ:ウルトラマンメビウス より)

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――なんともとりとめの無い文章になってしまったが、田中氏のご冥福をお祈りして末筆としたい。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。

田中実さん、自殺の前日に担当マネージャーと電話で会話 撮影現場に姿を見せず 母親が遺体を発見
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