さて宇都宮といえば「餃子の町」とのアイデンティティを確立して久しい。私も事前にピックアップしていた何軒かを巡ったのち、

正嗣 宮島本店 (餃子 / 東武宇都宮駅、宇都宮駅)
締めくくりとして訪れたのが、宇都宮の鎮守様である宇都宮二荒山神社の程近くの路地に店を構える(詳しい場所は上部リンク先、または記事下の地図を参照)『正嗣(まさし)』さん。どうやらメディアへの露出を意図的に避けている模様――宇都宮市内の書店で確認したが、地元の下野新聞社が編集したローカル色満点なガイドブックにすら載っていない――だが、ネットでの評判が高かったので来訪。
到着したのは18時半を少し過ぎたころ。店内を覗くと、夕食時とはいえメディアへの露出度が高い他のお店に引けをとらぬ盛況ぶりだったので期待が高まった。メディアへの露出を控えているのは、これ以上お客さんが来ても捌ききれないからかな……。
あいにく満席だったため入口の前で待機していたのも束の間、私の直後に4人連れの客が並んだ時点で店の女将がやってきて「お客さんたち(の注文)で売り切れになります」と告げられ、看板の明かりを落とすなどの閉店準備作業を始めたのには驚いた。ネットで調べたところ、同店の営業終了時間は20時だったはず。但し書きとして「なくなり次第終了」とも併記されていたものの、約一時間半も早く売り切れ仕舞いになるとは!

店内の様子
空きができたので席に着く。店内ではお店の方がお持ち帰り用の餃子を箱に詰める作業に追われており、閉店ムードとは程遠かった。

メニュー
御覧いただければ分かるように、同店で饗されるのは焼き餃子と水餃子のみでライスもビールも置いていない。メディアへの露出も多い他店を向こうにまわして純粋に餃子だけで支持を集めているのは驚きだ。

焼餃子(210円:税込)
そんなことをつらつらと考えているうちに、焼餃子が運ばれてきた。皮についた美しいキツネ色の焼き目が食欲をそそる。

醤油・酢・ラー油のゴールデントリオで形成されたタレに付けて食べれば、薄手でパリッと焼けているが具を包みこんで逃さないだけの強度がある皮と、小振りの外見をよい意味で裏切るほどに詰まっている野菜を中心とした餡が織り成すアッサリとした美味しさに目を見張る。税込210円という値段を考えれば驚愕のクオリティといえるだろう。スーパーで売られている惣菜の餃子や冷凍食品の餃子に相当する(あるいは勝る?)価格帯でありながら、それらよりも断然美味しいのだから。

水餃子(210円:税込)
お次に水餃子の到着。焼餃子と同じ餃子が水餃子となって無造作に白湯(さゆ)の中へ入れられているが、何気ない光景に見えて結構驚愕すべきことだ。水餃子は皮の強度が低いと破けて具が散乱してしまうので、焼餃子用に調製した薄皮では強度が足りないケースが少なくないからだ。

他店でもそのような食べ方を勧められたので、水餃子が泳ぐ白湯に醤油や酢やラー油を投入してスープ餃子風にするのが宇都宮流の模様。油を使わないからか焼餃子以上にアッサリした美味しさだ。また焼かない故に皮のプルンとした食感も楽しめる。焼餃子とは違った魅力に溢れる美味しさといえる。
『正嗣』さんの餃子の魅力は「小麦粉製の薄い皮で具材を包み加熱して作る料理」という餃子を構成する必要最小限の要素を最大限追求した「Simple is best」な美味しさではないだろうか。皆様も宇都宮来訪の際にはお試しあれ。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。
