2010年05月04日

文化庁による「アニメーターの卵を国費で育成する」計画について一言



「若いアニメーターのすそ野を広げ、将来、頂点を担う才能を育てたい」として、約2億1千万円の事業費をかけ、文化庁がアニメの製作事業に乗り出す、と記事は伝えている。製作の過程でアニメーターに技術を習得してもらうことが目的なのだとか。

近年アニメの動画行程は人件費の安いアジア諸国に外注されるケースが多く、故に「動画や仕上げ工程の海外依存が進み、人材育成ができず、原画の技術レベルが下がっている」(ある制作会社社長)との指摘が記事中で紹介されている。文化庁の動きは、こうした声に応えたものなのだろう。

ご存知のようにアニメーションとは、少しずつ違った絵をひとコマずつ撮影することで動いているように見える仕組み。キャラクターの動きの「始まり」と「終わり」が原画で、中間部分が「動画」。そしてアニメーターとは原画または動画を描く人の総称である。

まずアニメーターは動画で経験を積み、次に原画を担当する。そして将来的には、複数のアニメーターで描かれる絵柄や動きの統一やクオリティ維持などに責任を持つ作画監督となったり、作品全体の統括責任者である監督になる、というのがアニメーター双六の“上がり”である。

しかし前述のように人件費の安いアジア諸国に外注されてしまうので、国内のアニメーターへの仕事は少なくなる。またアニメーターの報酬は出来高払いのうえ、アニメ製作の末端となることから、制作費を圧縮する場合には真っ先に犠牲となってしまう。

かつて日本の基幹産業であった紡績業が、女工と呼ばれる女性労働者たちを搾取することで成り立っていたように、現在のアニメーションはアニメーターを始めとする現場の人間を搾取することで成り立ってしまっているのが実情なのである。

既に方々で何度となく指摘されているが、記事タイトルにあるように「アニメーターの卵を国費で育成」しても、彼らから搾取している輩に

「貧しき者から搾取した金に囲まれ、さぞかし満足だろう」
(byフェム:攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX より)

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攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Blu-ray Disc BOX 2

と痛烈な皮肉を浴びせ、現場で働く人間に十分な報酬を与えられない構造を打破しなければ、結局は優秀なアニメーターを生み出す土壌づくりなどできないと思う。

とはいえ産業構造の変革など一朝一夕にはできないだろうから、国がアニメーターの保護・育成のために動くとすれば…どこかで指摘されていたと思うが、例えばアニメーターに対する税制面での優遇措置などとれないのだろうか?


◆最後までお読み頂きありがとうございました。
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posted by 只今(橘カヲル) at 22:29| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感:サブカルチャー | 更新情報をチェックする
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