俳優の藤田まこと(ふじた まこと、本名・原田真=はらだ まこと)氏が、大動脈破裂のため亡くなった。76歳だった。
古くはテレビのお笑い番組『てなもんや三度笠』あんかけの時次郎で人気を博し、近年では人情味溢れる刑事ドラマ『はぐれ刑事純情派』安浦吉之助や池波正太郎先生の傑作時代小説をドラマ化した『剣客商売』秋山小兵衛として茶の間に親しまれた。
だが私にとって藤田氏といえば、人気時代劇『必殺』シリーズの代名詞ともいえる中村主水(なかむら もんど)としての活躍をおいて他にない。幼少のころに『必殺』シリーズを見て、普段は職場でも家庭でも軽んじられている冴えないオジサンだが、実は法で裁けぬ悪人を闇に葬る裏家業の凄腕、という二面性がとても印象に残ったものだ。
また町奉行所の同心や与力が、その組屋敷が立ち並んでいた地域(現在の東京都中央区八丁堀付近)の名に因んで“八丁堀”と渾名(あだな)されていた…という知識を得たのも『必殺』シリーズ劇中での中村主水からであった。私と同じようなパターンの方は少なくないのではないか?
さて、近年テレビ画面から拝見する藤田氏だが、加齢による体力の衰えもあったのだろうが、私生活で数十億円の借金を抱え、その返済に追われるという心労も重なったためか、演技中の歩き方が老人によく見られる「トボトボと…」力なく歩く感じになったように思った。そのたびに私も藤田氏の健康を気に病んだものだが、それでも要所で放たれる
「耄碌ジジイで悪かったな」
(by中村主水:必殺仕事人2009 より)

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といった静かだが迫力あるセリフに安堵する日々を過ごしていたので、病気からのリハビリ中とは聞いていたが、必ず復帰してくれるものと信じていた。それだけに今回の訃報は残念でならない。ご冥福をお祈りしたい。
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「必殺仕事人」俳優の藤田まことさん死去
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