2010年01月31日

学芸大学『蕎や 月心』さんで出会った意外な美味しさとは?

この日、駅から遠いにもかかわらず、私は或るお店を訪れた。いや正確には再訪した。

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蕎や 月心(そば / 祐天寺、学芸大学)


東急東横線・学芸大学駅から歩くこと15分ほど、かつての目黒区役所――現在は同区の社会教育館「さくらプラザ」となっている建物の近くに店を構える(詳しい場所は上部リンク先、または記事下の地図を参照)、『蕎や 月心』(そばや つきごころ)さんが今回の目的地。

去年の8月に開店したばかりの新鋭店だが、既に評判のお店となっている。なにしろ昨年の大晦日、私が年越し蕎麦を食べようと訪れた際には、時は既に夜半に差し掛かっていたにもかかわらず店外には行列ができていたのだ。

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店頭のメニュー

学芸大学駅周辺は、よくメディアで取り上げられる『吉法師』をはじめとして評判の良い蕎麦屋が多い蕎麦屋激戦区である。そのなかにあって、オープンしてから日が浅いうえに交通の便が悪いというハンディをものともせず形成された行列を目の当たりにして私は同店の実力を確信たのだが、後に用事を控えていたため泣く泣く撤退を余儀なくされたのだ。ようやく再挑戦が適い、入店前から気分が高鳴る。

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店内の様子

店内は、酒肴も充実したタイプの蕎麦屋によく見られる料亭風の洒落た作り。カウンター席がいくつかとテーブル席が一つあるだけの小規模店舗であるが不思議と狭さを感じない。空間や照明の使い方が上手いのだろうか。

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玄挽田舎蕎麦(850円:税込)

今回の注文は、枚数限定の玄挽田舎蕎麦(げんびきいなかそば)。店内メニューの説明文には「玄蕎麦(黒い殻つきの蕎麦の実)を石臼で粗く挽き、野趣溢れる香りと味を引き出した、挽きぐるみのお蕎麦です」とある。

説明文に少し注釈を加えたい。元蕎麦とは説明文にもあるように黒い殻(果皮)つきの蕎麦の実。元蕎麦は外側から中心に向かって三層構造になっているのだが、この各層を分けずにそのまま挽き込んだ蕎麦粉を「挽きぐるみ」と呼ぶ。

なお現在では、挽きぐるみというと事前に殻を取り除いた状態――つまり二層状態――で挽き込んだ蕎麦粉も差す。それは本来の意味での挽きぐるみだと篩(ふるい)にかけても殻を完全に除去することができないため。しかしメニューの説明文をそのまま読み取れば、この蕎麦は本来の意味での挽きぐるみで作られた蕎麦なのかもしれない。未確認なので迂闊なことはいえないが…。

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ともあれ、蕎麦の色黒さは挽きぐるみの蕎麦粉で作られた証といえる。

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スタッフの方に勧められたとおり、まずは荒塩でいただくことにする。

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口にした瞬間、蕎麦表面のザラつきが舌の上でもハッキリと分かる。説明文どおり蕎麦の実を粗く挽いているためだろう。そして味わってみれば、荒塩が持つ個性に負けぬほど蕎麦の味を強く感じる。ハイレベルで、期待を裏切らない美味しさの蕎麦だ。

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もちろんソバツユで食べても美味しい。

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そばがき善哉(500円:税込)

さて、こちらはメニューを見て興味を引かれたので注文した、そばがき善哉(ぜんざい)。関東でいう善哉とは餅に小豆の粒餡をかけたものだが、同店では「そばがき善哉」の名が示すとおり、蕎麦掻き――蕎麦粉を熱湯で捏ねたもの――に小豆餡を掛けてある。

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蕎麦掻きがホイップクリームのようにフンワリと作られており、口に入れたとたん舌の上で軽やかに消える。餅で作った善哉だと餅の粘りや食感が食べる側に与える印象が強いからか、対抗措置として餡の甘さも強く調製される傾向があるが、そばがき善哉は蕎麦掻きの口当たりが軽いためか、餡の甘さも小豆の味を生かす程度の上品さでまとめられている。意外な美味しさで、蕎麦を食べた後の口直しにはピッタリの逸品だ。

駅から距離があるというハンディはあるが、訪れてみて欲しい一軒である。





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posted by 只今(橘カヲル) at 18:18| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 食:蕎麦・うどん | 更新情報をチェックする
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