
JR高円寺駅
毎年夏の終わり(八月最後の土日)に大規模な阿波踊り大会が催されることで知られる高円寺周辺は、駅前以外は基本的に住宅地である。多くの人々が住まう故に美味しいお店も数多く、私が好きな町のひとつである。この町から、今日は一軒のお店をご紹介したい。

高円寺・大一市場
場所は高円寺駅北口の、昔ながらの小規模店舗が雑多に立ち並ぶエリア。ここに大一市場というL字型のフロアに様々なお店が出店しているところがある。昼なお薄暗い外観に少々身構えながらも歩を進めると…。

チョップスティックス(ベトナム料理 / 高円寺、新高円寺)
その一角に店を構えるチョップスティックスさんが今回の目的地(詳しい場所は上部リンク先、または記事下の地図を参照)。美味しいベトナム料理を提供するお店としてメディアにも登場したことがある。

通路と店舗に明確な仕切りがないので、雰囲気は殆ど屋台。だかそこがいい。実際にベトナムまで出向いたかのような錯覚を受ける。訪れた時間はコアなランチタイムには少し早かったのだが、席は結構埋まっていた。大一市場内にある他の飲食店がまだまだ客の出足に恵まれず、空席が目立っていたことを考えると、同店の繁盛ぶりが伺えるというものだ。

メニュー(一部)
同店の自慢は、日本初という生麺のフォー(ベトナムの平打ち米粉麺)。ランチ限定のメニューがあるので、本日はそれは注文することにした。

あっさり蒸し鶏のフォーとハーフ海南チキンライスのセット・ハス花茶つき(830円:税込)
相応に混雑している割には、それほど待つことなく料理が運ばれてきた。

鶏や牛から出汁を取ったアッサリとした透明なスープと生麺フォー。具には蒸し鶏のほか、サニーレタスや小松菜、ニラにパクチー(コリアンダー)など、青物野菜が多く入っている。

日本のベトナム料理店で一般に用いられているフォーは輸入された乾麺で、私も『チョップスティックス』さんに来訪するまではそれしか食べたことがなかった。乾麺のフォーはコシがなく食べる傍からブツブツと切れてしまうこともザラにあったが、私は「フォーとはそういう麺だ」という認識でいたので特に疑問を感じることはなかった。
ところが同店のフォーは、このアッサリしたスープの味を損なわない程度の強さではあるが、確かなコシがあるのである。これには唸った。もちろんコシだけはなく、モチモチとした歯ごたえも、ツルンとした喉越しも心地よい。このフォーにアッサリしたスープと、同じくアッサリした味の蒸し鶏の切り身、更に数々の青物野菜にアクセントのナッツが合わさると、夏場でもサラッと胃に入る美味しいフォーになる。
思えば暑いベトナムで一日三食全てで食べられているほど生活に密着しているのがフォーだ。夏場は喉越しの良い冷たいものが食べたくなるのが人情だが、摂り過ぎると胃腸の血管が冷やされて収縮するので胃腸の活動が弱められて、消化不良や食欲不振の原因になる。蒸し暑い日本の夏にはフォーがよく合うと思う。ベトナム料理のファンとしてはフォーがもっとメジャーになって欲しいと願っている。

ハーフ海南チキンライス
おっと、忘れちゃいけないのが、こちらの海南チキンライス。

ショウガの風味が利いたライスと蒸し鶏の相性が抜群!ハーフサイズなのが口惜しくなる逸品だ。
エスニック料理好きな人だけでなく、そうでない人にもお勧めできるお店である。
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