
JR銚子駅
夏季休暇を利用し、千葉県銚子市までやってきた。諸々の事情があって東京から極端に離れることが出来ず、また長期間の旅行予定も組めなかった。そのため比較的近場かつ短期間でも「遠くに来た」感が味わえる所ということで、関東地方の東端である銚子市を選んだ次第である。前に訪れたのは、6~7年前であっただろうか…。随分ご無沙汰してしまった。

大久保(寿司 / 銚子、仲ノ町)
それはさておき、日本屈指の港町である銚子に来たのだから「美味しい寿司を食べたいなぁ」と思うのが人情というもの。そこで、銚子駅から徒歩5分ほど、複合ショッピングセンターcitio(シティオ)から通りを挟んで向かい側にある(詳しい場所は上部リンク先、または記事下の地図を参照)『大久保』さんにやってきた。ここは銚子名物・伊達巻鮨の元祖として知られるお店である。

店内の様子
夕方の部が始まったばかりだったためか他に人影は無く、私が一番乗りとなった。

メニュー(一部)
メニューを見ていると、

卓上の張り紙(?)に、おあつらえ向きのメニューを発見したので、さっそく注文。

おすすめ旬にぎり(2,000円:税込)
待つこと暫し、おすすめ旬にぎりの到着だ。廻らない寿司なんて久しぶり~♪

素人目にも明らかに新鮮であることが分かる、艶やかな光を発する張りのあるネタが乗った寿司たち。回転寿司や宅配寿司、スーパーのパックの寿司を見慣れてしまった目には眩しすぎるほどだ。

銚子名物、伊達巻鮨
おっと、伊達巻鮨の説明を忘れていた。おせち料理の具として知られている伊達巻は、溶き卵に白身魚の擦り身を混ぜて厚焼きにし、簾で渦巻き状に形成したもの。一方、銚子名物の伊達巻鮨は、太巻き寿司の上に卵とダシだけで焼き上げた厚焼き玉子を乗せたもの。初めて目にしたときは、あまりの厚ぼったさに目を白黒させること間違いなし(?)だ。

思わず「厚焼き玉子」と書いてしまったが、厚焼き玉子と呼ぶにはおよそ似つかわしくない菓子チックな甘い味付けと滑らかな舌触りは、まるでプリンのようだ…というより、箸で摘める程度の固さに調製された焼きプリンそのものである。確かに、どちらも「溶き卵に熱を加えて固める」料理ではある。寿司ネタとして考えると「?」かもしれないが、デザートとして解釈するなら非常に良質な美味しさだと思う。
伊達巻鮨は『大久保』さんの初代店主が考案したそうで、ものの本によれば、地元漁師の「お腹がいっぱいになる甘い物が食べたい」とのリクエストに応えたものなのだとか。今も昔も船に乗って漁をすることは「板子一枚下は地獄(いたごいちまいしたはじごく)」と謳われるほど危険と隣り合わせ。甘いものイコールご馳走だった時代、“地獄”から生還した漁師たちは、無事現世に留まれたことへの喜びをが甘いものを食べることで実感したのではないか。

伊達巻鮨の説明が長くなってしまったが、もちろん他の寿司も鮮度抜群の美味しさ。ネタの切り身が厚く、口にいれれば各々の寿司ネタごとに違う味をハッキリと堪能できる。これぞ寿司の醍醐味だ。
…という訳で、銚子旅行一日目は大満足のうちに終了したのであった。皆様も銚子に訪れたおりには、銚子名物伊達巻鮨をお試しあれ。
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◆最後までお読み頂きありがとうございました。
