

横浜市営地下鉄・阪東橋駅
先週末、所用で横浜まで出てきたついでに、少々足を伸ばして地下鉄に乗り阪東橋(ばんどうばし)駅までやってきた。と言われてピンと来る人は、相当な落語マニアかもしれない。実は落語界の重鎮、桂歌丸師匠のお住まいが同駅近隣にあるのだ。


横浜橋通商店街

横浜橋通商店街公式サイト
そのご縁で、歌丸師匠は同駅から至近距離にある横浜橋通商店街協同組合の名誉顧問を務めておられ、公式サイトには歌丸師匠からのご挨拶も掲載されている。横浜橋通商店街は130を越える店舗が立ち並ぶが、半数以上が食料品関連、さらにその中で青果・精肉・鮮魚・惣菜の生鮮4品を扱う店は50を越えるという“食”関連に強い商店街である。近辺には食に拘りを持つ人が多く住んでいるのではないだろうか。


さて、今回の目的地は横浜橋通商店街を突き抜け、大通りを左折した場所に店を構える酔来軒 (すいらんけん)さん。年季の入った店構えからも察せられるように、地元で長年親しまれている中華料理屋さんである。
詳しい場所は上部リンク先、または記事下の地図参照…と言いたいところだが、どちらの地図においても地図にマークされているポイントは実際の店舗の位置とズレがあるので注意されたし。地図上で『よこはまばし入口』と記された交差点を目標にするとよいだろう。


写真左:店内の様子 写真右:メニュー
入店は19時を過ぎたころ。テーブル席や小上がりには地元民と思しき方々が陣取っており、お店の方と親しげに話をしていた。メニューには2000円近い一品料理もあるが、殆どが千円札一枚で釣り銭が来るという嬉しい価格設定。こんなお店が地元にあれば、足繁く通いたくなるというものだ。
またこのような地域密着店の場合、自分のような余所者がやってくると邪険にされるケースもあるが、対応してくださった若い男性店員が丁寧な言葉遣いで応対してくれたので気分的に救われた。常連さんとの会話を聞く限り同店は家族3人で経営しているようだ。

酔来丼と小ワンタンのセット(600円:税込)
今回注文したのは、同店の名物メニューであり、店名を冠する料理である酔来丼(すいらいどん)。そしてご飯ものにはプラス200円で付けられる小ワンタンをセットで頼んだ。

酔来丼とは、ご飯の上にチャーシュー、味つきモヤシ、メンマ、ネギ、そして半熟目玉焼きを乗せたもの。要するにラーメンの具を乗せた丼物である。ものの本によれば、元々は賄い飯(料理人を含む飲食店の従業員用の食事)だったとのこと。良く見ればチャーシューは煮豚ではなく、ちゃんと焼いて作った本物のチャーシュー(叉焼)。街中の中華料理店と侮る無かれ、手間のかかる本物のチャーシューを作るのは味に拘りがある証拠だ。


お店の方が酔来丼の食べ方をレクチャーしてくれた。小皿に入った辛子つきの特性ダレをかけて食すとのこと。お店の方曰く「(タレを)一気に全部入れてしまうと辛すぎるかもしれないので、様子を見ながら少しずつ入れてください」とのこと。

ごま油の香りがする特性ダレを投入し、程よく掻き混ぜた後で食す。実に美味しい。ラーメンの具はどれも麺――炭水化物と相性が良いものばかりだから、ご飯にも合うのは当然かもしれない。とはいえ、ただそのままご飯の上に乗せるのではなく、その相性のよさを一層際立たせるためにタレも用いるというのは小技が効いている。

また丼物のサイドメニューであるはずのワンタンもボリューム満点で、小ワンタンと言いながら良い意味で「看板に偽りあり」である。食の細い人ならこれだけで小腹が満たせるだろう。

ワンタンそのものにも肉がタップリ詰まっていて、食べ応えバッチリだ。
冒頭にも述べたように『酔来軒』さんの近隣にはこれといった名所旧跡も無いので、何かのついでで立ち寄るのは難しいかもしれないが、機会があればお試しあれ。しかしご近所の方が羨ましい…。
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◆最後までお読み頂きありがとうございました。
