球団が創設されてから僅か11年目のタンパベイ・レイズである。ただ同球団は昨年までタンパベイ・デビルレイズと名乗っていたので、こちらの名の方が馴染み深いという人もいるかもしれない。デビルレイ[devil ray]という物々しい球団名は、本拠地があるフロリダ州のフロリダ湾に多く生息するイトマキエイに由来する。頭部にある前方に突き出したヒレ状の突起が悪魔の姿を想起させるのだとか。
だが、この物々しい球団名とは裏腹に創設以来チームは低迷を続ける。地区4位になった2004年を除けば、過去10年間で最下位が9度。文字通りの“万年最下位”球団だから観客動員数も伸び悩み、このため選手の年俸が上げられず大物選手が獲得できなくて戦力の補強もままならないという悪循環が続いていた。
だが昨年のオフ、チームの名称から[devil]が無くなり、これと共に[ray]もエイから光線の意へと変更された。またユニフォームやロゴ、シンボルカラーも一新した。一般企業でいうところのCI(コーポレート・アイデンティティ[Corporate Identity])戦略である。
CIとは企業の特徴や理念などを簡潔に表したものを指すが、それを端的に表すための分かりやすい手段が、社名や会社のロゴを変更することである。これまで慣れ親しんだ社名やロゴを変えるのは大きなリスクを伴うが、逆に変革に賭ける経営陣の意気込みも伝えられる。
また社員にとっても社名やロゴ変更の意味は大きい。これまでとは違う社名、違うロゴ、違うシンボルカラーで顧客に接するのだ。ここで「社名が変わっても人は変わっていないと言われないようにしなければ…」という考え方になれば社内的にも成功だ。
タンパベイ・レイズは、このCIが大成功した例ではなかろうか。もともと、戦力は決して低くないといわれていた。米国のドラフト制度は完全ウェーバー制のため、万年最下位が幸いして将来性のある若手選手が優先的に入団していたし、スター選手とポジションが重なるなどの理由で実力がありながら出場機会に恵まれない選手も同球団の門を叩いていた。
そこに今回の球団名(社名)やロゴの変更で選手(社員)が奮起した。もともと実力はあったから、そこにヤル気が加わわれば怖いものは無い。課題とされた投手陣が軒並み好成績を上げ、野手陣も手堅い守備でこれをサポートし、タンパベイ・レイズは接戦に強いチームへと昇華した。万年最下位という日の当たらぬ海の底にいたイトマキエイ(devil ray)は、自ら輝く一条の光(ray)へと変わって、チームに巣食う悪魔(devil)を退治したのだ。そう、気の持ちよう一つで
「人間はみんな自分自身の力で光になれるんだ」
(byマドカ・ダイゴ=ウルトラマンティガ:ウルトラマンティガ より)

アクションヒーローシリーズ ウルトラマンティガ
この勢いで、タンパベイ・レイズがワールドシリーズ優勝を勝ち取れるか注目したい。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。

岩村がウイニングボール!!レイズ歓喜のア・リーグ初制覇
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081020-00000507-sanspo-base
逆指名なんかやめて完全ウェーバー制にでもしない限りこの傾向は続くはずですね。
日本のプロ野球は大リーグの下請けになってしまった感があります。コミッショナーにプロ野球OBを起用する、というような抜本的な改革はできないのでしょうか…。