2008年05月11日

映画字幕に関する問題と、知りたいと思う心の関係

最近、TVのみならず、映画館で上映される映画でも字幕を使わない吹き替え版が増えてきた。自分はこうした現象を「配給会社が話題づくりのためにプロの声優ではないタレントを安易に使いたがるためかなぁ」と考えていたのだが、実はこうした事情もあるようなのだ。

映画字幕で業界が四苦八苦 若者の知的レベル低下が背景か?
産経新聞

まず、字幕を目で追いきれない人たちが増えたこと。現在の字幕はスクリーン中央下に最大で横に13文字×2行が主流なのだが、これが読みきれないとの声が特に若い人たちの間で増えてきたため、文字数を減らさざるをえなくなっているようなのだ。

映画の字幕は学校の英語の試験ではないので、一言一句文法どおりキッチリ訳す必要はない。というよりも、そんなことをしては実際にセリフを話している時間に比べて訳文が長くなってしまい、話のリズムが崩れてしまうので、話している時間にマッチするぐらいの分量に収まるようにセリフを意訳する必要がある。たとえば、原音で或るセリフを話すのにかかった時間が5秒であったとするならば、日本語でも5秒程度で言い切れるぐらいの言葉にまとめなければならない。

必要不可欠な情報を字数制限がある中で伝えるには相当の技量が必要だ。そんな状況下で「字幕が読みきれない」と言われたら今までよりもさらに短い字数で情報を伝えきらなければならず、字幕翻訳者が苦悩することになる。

また駄洒落や民族ジョークの類などは直訳しても日本人にはピンとこないので、こちらも意訳…というよりは置換が必要になる。こちらも例をあげると、仮に邦画を海外で上映する場合、「恐れ入谷の鬼子母神」とか「その手は桑名の焼きハマグリ」といったセリフを他の原語に直訳したとしても、他の国の人には意味不明となるだけであろう(例えが古いなぁ 笑)。

とはいえ、こうした問題に関していえば、以前より「字幕ではセリフを“超訳”してしまうから本来の意味とはかけ離れてしまう」という指摘が、特に原語のヒヤリングが出来る人たちの間からあった。しかし現在映画界が字幕で四苦八苦している背景にはもっと根源的な理由がある。それが記事でも指摘されている、字幕を読む側の知的レベルの低下である。「難しい漢字が読めない」などというのは序の口で、記事によれば、或るスパイ映画の上映後「ソ連って何ですか?」「ナチスって何ですか?」といった感想が寄せられ、関係者は驚いたそうだ。

「人間はどんなところでも学ぶことができる。知りたいという心さえあれば」
(byユーリー・スコット教授:MASTERキートン より)

080511_01.JPG
MASTER キートン  オリジナル・サウンドトラック

という言葉がある。しかしこうした感想を寄せてくる人たちは、学びたい、知りたいから「○○って何ですか?」と聞いているようには思えない。

本当に疑問に思い、それを解決しようとするのであれば、自ら調べようとするはずだ。特に今は老若男女を問わず携帯電話を持ち歩いているのだから、ちょっとiモードなどに接続し、Webで検索すれば大抵の疑問など氷解するはずである。それなのにこうした質問をしてくる人たちは「なぜ、私の知識レベルに合わせてくれないのですか?」というクレームをつけているに過ぎないのではないか。

知らないことを知るのは楽しいこと・知らないことを知らないままにしているのは恥ずかしいこと、だったはずだが、どうも最近「知らなくてなにが悪い」と開き直る人が増えたような…。出演者に正解率を競わせることではなく、突拍子もない的外れな回答をさせて笑いを取ることを主目的とするクイズ番組がTVで増えているのも、その表れか。

皆さん、知りたいという心を持ちましょう。それが万物の霊長である人間の特権なのですから…。


◆最後までお読み頂きありがとうございました。
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タグ:字幕 映画
posted by 只今 at 08:38| 東京 ☔| Comment(4) | TrackBack(5) | 雑感:社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
しかしなあ・・・そこでその知的レベルを低い方にあわせちゃうのもなあ・・・
子供の頃に大人の映画(性的なのじゃなくてw)見たってわからない言葉とか多くて、段々と勉強とかするにつれて意味が分かってきて・・ってことがあると思うんですよね。
そこではじめから「誰でも理解できる」ものにしちゃうと学習意欲そのものがなくなっていっちゃうんじゃないかと・・・机上の空論かもしれませんが。
Posted by 記号士 at 2008年05月11日 10:38
私は吹き替えが好きです。
監督は映像の隅々にまで気を配って作っているのではと思うと、画面をガッチリと頭の中に入れておきたいと思って、見ています。
Posted by のびぃ太 at 2008年05月11日 20:14
TBを有り難う御座います。
こちらもTBをさせて頂こうと思いましたら、何故か送信失敗で、出来ませんでした(汗)。
ので、コメントを残しに参りました。

>どうも最近「知らなくてなにが悪い」と
>開き直る人が増えたような…。
知らないことを「恥ずかしいコト」とは思わなくなってきているのかも知れませんね。
嘆かわしい世の中です。
Posted by 隠密 at 2008年05月11日 23:41
>記号士さん
年齢や人生経験に応じて、理解できる物事は違ってくるのが当たり前なので、映画でも何でも、見た人全てがその場で瞬時に全てを理解できる必要は無いでしょう。分からなければ時間の経過と共に分かるようになって行けばよいので…。その意味でも、仰るように知的レベルの低い人にわざわざ合わせる必要はないかも知れません。

>のびぃ太さん
仰るように「字幕があると、字幕を読むのに気をとられて映画の映像に集中できない」という意見も昔からあります。だからこそ吹き替えという技術も発達してきたのでしょう。

>隠密さん
始めまして。わざわざのコメントありがとうございました。よろしければまた気軽にコメントを残していって下さい。
m(_ _)m
Posted by 只今@管理人 at 2008年05月18日 13:51
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