2009年06月08日

御茶ノ水『天野屋』さんの冷やし甘酒で、目から鱗を落としてみませんか?

子供のころの経験が大人になるまで尾を引いてしまっている方は多いのではないか。しかしそれが根底から覆されるという経験をされた方はどのぐらいおられるだろうか。私は今回、或るお店でその貴重な経験をしたのでご紹介したい。

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神田神社(神田明神)

江戸総鎮守として信仰を集める神田神社(神田明神)。

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天野屋(甘味処 / 御茶ノ水、末広町、新御茶ノ水)

その門前に店を構える(詳しい場所は上部リンク先を参照)『天野屋』さん。ものの本によれば1846(弘化3)年の創業というから、日本でいえば江戸幕府第12代将軍徳川家慶の治世。孝明天皇が即位され、また後に江戸幕府第14代将軍となる徳川家茂およびその妻となった和宮親子内親王(皇女和宮)が生まれた年。

7年後の1853(嘉永6)年にはマシュー・C・ペリー提督率いる米国東インド艦隊が現在の神奈川県横須賀市浦賀に来航した黒船来航事件が起こり、日本の歴史は、いわゆる“幕末”へと突入していく…おっと、いかんいかん、どうも戦国時代や幕末が絡むと話が脱線する(笑)。

閑話休題、『天野屋』さんは創業以来160年以上の永きに渡り、神田神社参拝客の休憩所として親しまれてきたお店。隣接する小売スペースでは味噌や納豆なども取り扱っているが、喫茶部門の主力商品は甘酒である。土蔵造り風の外見に違わず、内装も古民家風の趣ある作り。こうした空間に佇んでいると気持ちが落ち着いてくるのは、日本人のサガであろうか。

ところで私は神保町の古書店街をはじめ神田神社周辺には数限りなく出没しているし、この店も古くから知っていた。しかし同店に実際に訪れたのは今回が初めてなのだ。理由は、私が持っていた甘酒への印象が悪かったことにある。

幼少のころ何度か飲んだ甘酒はいずれも酒臭く、しつこい後味が残り、しかも微量とはいえアルコールが含まれていたからか、アルコールを受け付けない体である私は飲んだ後に体が痒くなったのだった。そんな私が今回同店を訪れたのは、甘酒には二種類の製法があることを知ったからである。

【甘酒の種類】
(A)
固めの粥もしくは軟らかく炊いた米に米麹を加えて作る。米麹により米のデンプンが糖化して甘くなる。なお、これに清酒酵母を加えて発酵させ、糖がアルコールになったのが濁酒。
(B)濁酒を漉して清酒を造る過程で生じる酒粕を湯で溶かして作る。甘みは砂糖などで後から加える。

どちらも甘酒を名乗っているが、AとBでは原材料(米&米麹or酒粕)も甘みの根拠(デンプンの糖化or砂糖など)も違う。加えてAは清酒酵母を加える前の段階だから当然アルコールは含まれていないが、Bは糖がアルコールになった後だから原材料の酒粕にも大量ではないがアルコールを含んでいるなど、ぶっちゃけAとBはまったく別の代物なのである。私がこれまで良い印象を持っていなかった甘酒はBの甘酒であった。

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冷やし甘酒(450円:税込)

そして『天野屋』さんの甘酒は、同店の地下6メートルのところにある土室(つちむろ)で培養された麹を使用しているAの甘酒なのである。同店の甘酒にはホットとアイスの二種類があるのだが、今回は、これからの季節にピッタリな冷やし甘酒をチョイスした。

「甘酒は冬の飲み物」と思っていらっしゃる方には違和感があるかもしれないが、俳句の世界では甘酒は夏の季語。本来は暑気払いとして庶民に愛されていた飲み物なのである。

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嫌なにおいなど全くしない。仄かではあるが、Bの甘酒と比べれば「芳香を放つ」と言っても良いぐらいだ。そして口にすれはあくまで自然な、そしてとても親しみのある甘みが全身にいきわたる。

ご飯をよく噛んで食べる唾液に含まれるアミラーゼがデンプンを糖に変えるので甘みを感じるが、米麹もアミラーゼで米を糖化している。つまり、ご飯の甘みと甘酒の甘みは同じ物なので、日本人にとって親しみがあるのは当たり前なのだ。無論、酒臭さなど皆無だし、後口にいつまでも残ることはない

思わず唸ってしまった。「目から鱗が落ちる」とはこのことか。私がいままで持っていた甘酒に対する悪い印象は完全に氷解させてしまった。世の中には炭酸飲料やスポーツドリンク、また果汁ジュースなど、数限りない「甘い飲み物」が存在するが、これだけ品の良い美味しさを持ち、しかも食品添加物とは無縁の安全な飲み物を思いつくのは、私の知識では難しい。

甘酒ファンの方は言うまでも無いが、これまで甘酒に良い印象を持っていなかった方にこそ、目から鱗が落ちる『天野屋』さんの甘酒を試して欲しい。


◆最後までお読み頂きありがとうございました。
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posted by 只今 at 00:00| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(1) | 食:スイーツ・パン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も甘酒は嫌いなのですが(母親は大好き)、甘酒が2種類あるとは知りませんでした。私も、嫌いと思っていたのは、Bの方です。なるほど〜!
Posted by valvane at 2009年06月16日 22:36
>valvane さん
>甘酒が2種類あるとは知りませんでした。
私も、つい先日まで知りませんでした。「臭くない甘酒」の存在を多くの人に知って欲しいです。
Posted by 只今@管理人 at 2009年06月23日 21:23
只今さま

初めまして、天野屋の店主です。
本物の甘酒の味をわかって頂けて嬉しいです。
お話のBの甘酒は酒粕をお湯で溶いてズルチン、サッカリン等で甘い物を売っていた戦後の闇市のから発祥したようです。本物の甘酒は出来上がるまでに最短で5日間です。5日目でも十分に甘いですが更に糖度を上げる為に2〜3日間常温で寝かせます。非常に手間が掛かるデリケートな食品です。一般に販売されている甘酒は不味過ぎます。只今様の仰る通り本物を1度味わって頂ければ嬉しいです。毎年3月3日、桃の節句にはどなた様でもお出でくだされば甘酒を無料でお召し上がり頂けます。是非お試しを・・・
Posted by 天野屋 店主 at 2009年12月22日 23:06
>天野屋 店主 さん
こちらこそ、貴重な体験をさせていただきありがとうございます。また近くに立ち寄りましたら、ぜひ天野屋さんの甘酒を堪能したく存じます。
Posted by 只今@管理人 at 2010年01月03日 08:30
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