さて、2008年7月2日、コロンビア軍はFARCに対し、約6年間にわたって人質として拘束されていた15名の救出作戦を実行した。作戦は無事成功した。そこまでは良かったのだが…。
その作戦に参加した兵士の一人が、赤十字国際委員会(ICRC)の標章――病院などでお馴染みの赤十字マークのことだ――がついたベストを無断で着用していたことが明るみに出たことから大問題となり、同国大統領アルバロ・ウリベ氏が演説で謝罪する事態となったのだ。
特に内戦が続いているような政情不安な地域において、非戦・不干渉の立場を貫く存在であるというある種の身分保障がされている医療関係者や宗教関係者を装えば、他人の信頼を勝ち取りやすくなるのは確かだと思う。話は逸れるが、自分はかつて、迷彩柄の覆面で素顔を隠した堂々たる偉丈夫が、自身が着用していた迷彩服を裏返して黒いペンキに浸して作った即席の牧師服を身に纏って強盗犯人の説得に乗り出す場面を目撃したことがある。
黒尽くめの衣装は牧師というよりスータン(カトリックの僧服。足下まで隠れる黒い学ランのような服。カソックともいう)を着た神父だし、怪しい覆面と筋骨隆々とした肉体も加われば、どう贔屓目に見ても牧師と名乗るには無理があったにも関わらず、
「私は牧師です。あなたに食べ物を持ってきました」
(byキン肉マンソルジャー:キン肉マン より)

キン肉マン キン肉星王位争奪編 VOL.3
との一言で強盗犯を簡単に信用させてしまったのには驚いた(その後すぐに偽者だとバレていたが…)。
閑話休題。ICRCは、あらゆる政治・軍事勢力から中立の立場をとっている。立場が偏れば反対勢力から標的とされてしまい、肝心の人命救助活動に支障が出るからである。前述したように医療関係者や宗教関係者を装うことは“弾除け”には最適であろうが、赤十字マークの信頼性を地に堕としてしまっては、これから先どれだけ犠牲者が増えるか予想もつかない事態に発展しかねない。
件の兵士は「拠点に着陸する直前、あまりに大勢のゲリラがいたため恐怖を感じ、着用してしまった」とのことだ。いわゆる出来心というものなのかもしれないが、事は国際的一大事なのである。ICROが「背信行為」、「戦争犯罪」と強く非難し、大統領自らが謝罪するのも当然といえる。赤十字マークが相手でも見境なく攻撃される事態だけはなんとしても避けなくてはならない。これはコロンビアとICRCだけの問題ではない。各国も出来る限り協力すべきだろう。
まぁ願わくば、そんな心配をしなくても済むような平和な世界であることが望ましいのだが。
◆最後までお読み頂きありがとうございました。

















